プロジェクトマネージャ(以下PM)試験とは、IPA(情報処理推進機構)が実施している国家試験の一つです。IPAで提供している試験の内、レベル4に位置付けられており最高難易度の試験です。
PM試験に合格するためにはどれくらい勉強時間が必要なのか、どのように勉強を進めればよいのかなど、2022年度の秋期に合格した経験から、これからPM試験を受験する方々の後押しになる情報をお伝えできればと思います。
受験までにやったこと
事前知識
IPAで提供している試験の内、PM試験を含む高度技術者試験の下位にあたる応用情報技術者試験は合格していました。(2017年に合格)
勉強期間(時間)
勉強期間はおよそ2カ月で約70時間勉強しました。
使用した参考書など
・2020 プロジェクトマネージャ 「専門知識+午後問題」の重点対策 (重点対策シリーズ)
午前対策は後述する過去問道場という超強力なサイトがあるので、午後問題の対策に重点を置いた参考書を選ぶことをお勧めします。
勉強方法
午前と午後で出題形式が大きく異なるため、それぞれで試験対策を行いました。
午前(Ⅰ、Ⅱ)対策 (対策時間:10時間程度)
午前Ⅰ、Ⅱは四肢択一での出題となります。
これまで午前Ⅰ、Ⅱについては過去問から出題される傾向が強いことから、過去問を繰り返し解くことで午前Ⅰ、Ⅱの突破率は大きく向上します。
私の経験上ですが、過去問と同等※の問題がおよそ5~6割は出題されることから、過去問の正答率が100%に近づくだけで十分に突破できるものになります。
※過去問と同一の問題、もしくは問題文の一部が変更され、それに伴い解答が変更されるような問題
午前Ⅰについては、下位試験である応用情報技術者試験の過去問を解くことで対策することが可能なため、以下の過去問道場を実践しました。
応用情報技術者試験過去問道場
https://www.ap-siken.com/apkakomon.php
また午前Ⅱについても、午前Ⅰ同様に以下の過去問道場を実践しました。
プロジェクトマネージャ試験過去問道場
https://www.pm-siken.com/pmkakomon.php
かなり手軽に勉強できますので、電車での移動中や仕事・授業の合間などの隙間時間を利用して学習を進めることができます。
取り掛かり始めは、解答できない(答えに見当がつかない)問題が多いこともあると思いますが、それが普通です。
”参考書などでしっかりインプットしてからの方がいいのでは?”と思ってしまうかもしれません。
しっかりインプットしようとすると、それだけでかなりの勉強時間を割かなければならなくなってしまうので、解答できない状態であったとしてもアウトプット優先で過去問を繰り返し解くことを強くお勧めします。
午前Ⅰ、Ⅱの対策については隙間時間を利用して行うことから、特に終わりを決める(これが終わってから午後の対策に臨む)ことは無く、試験当日まで継続することをお勧めします。
ただし、一つの目安として模擬試験形式で出題を選択し、正答が常に95%を超えるようになったら、対策は十分と考えていただければ大丈夫だと思います。
なお、模擬試験形式で問題を解く際は、オプションで”選択肢をランダムに並び替える”を選択するのがお勧めです。
また正答が95%に近づいてくると、問題文の冒頭を読むだけで答えが頭に浮かぶような状態になってくると思います。(問題と答えをセットで覚えている状態)
応用が効かないように感じてしまうかもしれませんが、まずは試験に合格することに重点を置くのであれば、この状態が最良だと信じて突き進みましょう。
午後Ⅰ対策 (対策時間:20時間程度)
午後Ⅰは午前Ⅰ、Ⅱとは異なり、記述形式での解答となります。
試験対策も隙間時間を活用するのではなく、家でしっかり時間をかけて実施することが大切です。
対策については参考書の演習問題と過去問を繰り返し解くことをお勧めします。
午後Ⅰでは、”~についてXX文字以内で述べよ”といった問題が出題されます。
解答の文章を考える必要があるため、午前よりも解答の難易度はぐっと上がります。
ただし、これも問題を繰り返し解くことで問題の傾向や答え方のコツが掴めてくると思いますので、参考書の演習問題や過去問を実践することで対策可能です。
まずは参考書の午後Ⅰ対策部分を実践しつつ、それが終わったらIPAで公開している過去問をさらに解いていくのが良いです。
過去問については時間の許す限り実践するのが良いと思いますが、直近3年分が目安となります。
(時間があれば、5年分くらい実施すると十分だと思います。私は参考書に記載の問題+直近3年分を実施しました。)
過去問についてはIPAの公式サイトから、解答と問題をセットでダウンロードできます。
IPA公式サイト(過去問題)
https://www.ipa.go.jp/shiken/mondai-kaiotu/index.html
午後Ⅱ対策 (対策時間:40時間程度)
午後Ⅱは論文形式での解答となり、これまでの午前Ⅰ、Ⅱ、午後Ⅰの対策とは全く異なる試験対策が必要な部分です。
午後Ⅱでは、自身が実際に経験したプロジェクトに関して、発生した課題やその対策、対策を実施するに至った経緯、対策を実施したことで得られた効果と評価などを論文形式で解答するものとなります。
試験対策として一番効果的な方法は、自身のプロジェクトマネジメント経験をまとめることです。
・どのようなプロジェクトだったのか
・規模はどれくらいだったのか(人数、期間、金額)
・どのようなステークホルダーがいたのか
・苦労したことやトラブルはあったか。またそれらをどのようにして乗り越えたのか。
etc…
その上で、過去問を参考にして問われそうな観点(品質・コスト・納期)で発生した課題と対策、対策によって得た効果と評価方法などを考えることが必要です。
午後Ⅱについては、問題を見た後に1から文章を構成していると全然時間が足りないため、試験前にいかにプロジェクト経験を整理しておくかが重要なポイントになります。
品質・コスト・納期それぞれのパターンで以下の文章を構成できるように考えておきましょう。
・発生した課題と課題発生の予兆
・実際に課題が発生した際の対策
・対策の結果、どのように結果を評価したか
これらの文章を600文字~800文字程度で記述することができれば、あとは試験の時に考えておいた文章を書き起こすだけになります。
午後Ⅱの試験対策をまとめると以下の順番で実施するのが良いと思います。
1. 自身が経験したプロジェクトのマネジメント経験を文章でまとめる
2. 品質・コスト・納期それぞれのパターンで文章構成を考える
3. 時間内(2時間)で2. の文章を書き起こせるように訓練する
繰り返しとなりますが、試験当日に1から文章を考えながら記述していくのは時間が足りなくなってしまうため、試験前に自身のプロジェクト経験を整理しておくかがとても重要です。
試験の所感
全体通して言えるのは、試験対策を間違えなければ、誰でも合格は十分に狙える試験です。
・午前Ⅰ、Ⅱは過去問対策のみで合格できる
⇒上述の試験対策の通り、過去問対策で十分に突破できる内容です。
目安として記載した過去問道場の模擬試験形式が毎回95%を超えているようであれば
問題なく突破できる部分です。
・午後Ⅰ試験は十分な対策が必要
⇒過去問を単純にこなすだけでなく、プロジェクトマネージャとはどのようなことを意識して
プロジェクト推進に臨むべき人物か、という点をしっかり意識する必要がありました。
これは過去問から読み取れる部分もありますが、参考書の解説を見ながら自分で咀嚼する
必要がある内容だと考えます。
・午後Ⅱ(論文)は作戦がカギ
⇒試験時間がかなりタイトで、書き直している時間はほとんどありません。
そんな中でも考えなければならない問も存在するため、そういった問に少しでも
時間を多く割く必要があります。
そのため、毎試験共通で問われる(経験したプロジェクトの概要など)ことは
事前に書くことを決めておいて、スムーズに記述できるよう準備しましょう。
また、文章の構成も先に決めておくことで、ロスは少なくできると思います。
まとめ
・70時間勉強すれば十分に合格可能
・午前Ⅰ、Ⅱ、午後Ⅰは過去問を繰り返し解くことが重要
・午後Ⅱ突破のカギは自身のプロジェクト経験をしっかり整理しておくこと
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